SOFT MACHINE

FIFTH

1.All White
2.Drop
3.M.C.
4.As If
5.L B O
6.Pigling Bland
7.Bone

Elton Dean (Alto Sax, Saxello, Electric Piano)

Hugh Hopper (Bass Guitar)

Mike Ratledge (Organ, Electric Piano)

Phil Howard (Drums/Tracks1-3)

John Marshall (Drums/Tracks4-7)

Roy Babington (Double Bass/Tracks 4-7)

 

  72年発表。ロバート・ワイアットの脱退により@〜Bはフィル・ハワード(アルバム作成中脱退)、C〜Fはニュークリアスのジョン・マーシャルがドラムを担当。アレンジは相変わらず緻密。

  @「All White」はラトリッジ作。サックスを中心に展開する。A「Drop」は水滴の音とエレピが何とも情的な雰囲気を醸し出すナンバー。そのままサックス、ベース、ドラムが絡み技巧ジャズを展開するこれもラトリッジ作。ホッパー作のB「M.C.」はエレピ、ベース、ドラム、サックスを用いたフリー・フォームな曲。エレピが幻想イメージを醸す。C「As If」はサックスリードのオープニングからして何ともジョン・ゾーンが好みそうというか相当影響を与えたのではないかと思ってしまうラトリッジのナンバー。中盤の静けさから一転、終盤の爆発と共にドラムソロへ突入しそのままD「L B O」へなだれ込む。マーシャルのドラムソロのみ。E「Pigling Bland」はエレピ、リズム隊の上をサックスが舞い続ける。後半はスピード感溢れ爽快だ。ラトリッジ作。ディーンのF「Bone」はやや変わったナンバーで幻想的な様相を見せる。

  アルバム全体が引き締まっており聴き易い。これぞジャズと呼べる好盤。

SIX

1.Fanfare
2.All White
3.Between
4.Riff
5.37 1/2
6.Gesolreut
7.E.P.V.
8.Lefty
9.Stumble
10.5 From 13 (For Phil Seaman With Love & Thanks)
11.Riff II
12.The Soft Weed Factor
13.Stanley Stamps Gibbon Album
14.Chloe And The Pirates
15.1983

Hugh Hopper (Bass Guitar)

Karl Jenkins (Oboe, Baritone and Soprano Saxophones, Electric Piano and Grand Piano, Celeste)

John Marshall (Drums and Percussion)

Mike Ratledge (Organ, Electric Piano and Grand Piano, Celeste)

 

  73年発表。前作、前々作と新たな風を持ち込んだエルトン・ディーンは脱退。ニュークリアスのカール・ジェンキンスが加わった6th。ライヴ録音とスタジオ録音で纏め上げられたアナログでは3rd以来となる2枚組の大作。録音は72年。@〜Jがライヴ、K〜Nがスタジオ録音である。ジェンキンスは曲作りに大きく貢献しており、ソフト・マシーンの主要な作曲家として既に頭角を現している。

  短いイントロ@「Fanfare」後「FIFTH」収録のA「All White」へ。エレピによるB「Between」の深淵に続いてC「Riff」でベースとエレピがリフを繰り返す。オルガンが踊る。D「37 1/2」はベースとサックスが序盤をリード。ドラムも忙しい。そしてオーボエがドラム、ベース、エレピをバックに主調する。E「Gesolreut」は多少ファンキーにも感じさせるサックスとエレピのイントロが印象的だ。情的なF「E.P.V.」は朝焼けを感じさせるオーボエが良い。G「Lefty」は即興ナンバーの様で張り詰めた空気はラストに爆発。続け様のH「Stumble」はオルガンとピアノをメインにした小曲。あっと言う間にI「5 From 13 (For Phil Seaman With Love & Thanks)」のドラムソロへ。手数の多いジョン・マーシャルのドラミング。5分に及ぶマーシャルの独壇場。そしてラストのJ「Riff II」へと繋がる。スタジオ録音よりK「The Soft Weed Factor」はエレピから幕を明ける。同じフレーズを繰り返し3分を超えた辺りから楽器が絡み始める。最終再びエレピに終息していく11分を超えるナンバー。ジェンキンス作。L「Stanley Stamps Gibbon Album」はオープニングのピアノから強力なアンサンブルを繰り広げるジャズ・ロック。ラトリッジ作。ミニマル空間から始まるM「Chloe And The Pirates」もラトリッジのナンバー。落ち着いた聴かせる曲。終盤逆回転テープを使用、スペース風空間にサックスが舞う。N「1983」はホッパー最後のソフト・マシーン・ナンバー。アルバム中最も強烈な個性を放っており実験性が高い。重く低音のピアノの中終盤にかけてホッパーのベースが出てくる。

  実験性は失われず新たなソフト・マシーンの方向性を打ち出した傑作。

SEVEN

1.Nettle Bed
2.Carol Ann
3.Day's Eye
4.Bone Fire
5.Tarabos
6.D.I.S.
7.Snodland
8.Penny Hitch
9.Block
10.Down The Road
11.The German Lesson
12.The French Lesson

Mike Ratledge (Organ, Synthesizer, Electric Piano)

Karl Jenkins (Oboe, Soprano Sax, Electric Piano)

John Marshall (Drums)

Roy Babbington (Bass)

 

  73年発表。前作をもってヒュー・ホッパーが脱退。ニュークリアスのロイ・バビントンが加入しラトリッジ以外のメンバーは全てニュークリアス組みになってしまった。ジェンキンス色を強めフュージョン・ジャズに移行しているが実験度も高いエレクトロ・サウンド形式のジャズ・ロック。時に執拗なリフで形作る曲もあればミニマル度の高いフリーフォームな演奏もあり、更なる前衛ジャズを目指そうとする意欲が伺える。サウンドは違うにせよある意味3rdに近い作りを見せている。

  ジェンキンス作の@「Nettle Bed」はリフが非常に印象的でグルーヴィーだ。A「Carol Ann」は美しいナンバーで@とは打って変わった印象。これもジェンキンス作。サックスとベースが印象的なB「Day's Eye」はラトリッジ作。続け様に30秒程のナンバーC「Bone Fire」へ。直ぐに転調しD「Tarabos」へと移る。ベースのグルーヴィーなリフをオルガンが盛り上げる。最終突然スピード感を増して締める。鐘の音と共にE「D.I.S.」へ。金属の響きが共鳴する異色のナンバー。B〜Eは繋がっている。F「Snodland」はソフト・マシーンで何回か見られるエレピの情的ナンバー。そのままG「Penny Hitch」へと移行する。ミドルテンポながらサックスを中心に聴き応えがある。隙間無くH「Block」へ。ホッパーの脱退によりファズ・ベースが無くなった。見事なオルガンワークとスピード感あるベース&ドラム。締めもカッコ良くお見事なナンバー。I「Down The Road」はベースのリフがひたすら繰り返される。その上を楽器が舞い続けるソフト・マシーンの特徴的な曲。そのままシンセ音が鳴り響くJ「The German Lesson」、いつの間にかK「The French Lesson」へ移行しアルバムは終わる。

  全体的な緊張感は薄れていない。個々の楽曲は小粒ながら曲間の無さからそれほどの短さは感じさせない。ソフト・マシーンならではの持ち味も薄れておらず進化したジャズ・ロックが聴ける名盤。

BUNDLES

1.Hazard Profile (Part 1)
2.Hazard Profile (Part 2)
3.Hazard Profile (Part 3)
4.Hazard Profile (Part 4)
5.Hazard Profile (Part 5)
6.Gone Sailing
7.Bundles
8.Land Of The Bag Snake
9.The Man Who Waved At Trains
10.Peff
11.Four Gongs Two Drums
12.Floating World

Roy Babbington (Bass Guitar)

Allan Holdsworth (Electric, Acoustic and 12-String Guitars)

Karl Jenkins (Oboe, Piano, Electric Piano, Soprano Saxphone)

John Marshall (Drums)

Mike Ratledge (Organ, Electric Piano, Synthesizer)

 

  75年発表の8th。ギタリストのアラン・ホールズワースが加入。彼もニュークリアス出身で最早ソフト・マシーンの名がついたニュークリアス状態。今までも変化を見せていたが、更に大幅な変化を遂げた作品。ギタリストの導入をはじめ、メンバーの変化は完全にフュージョン寄りの形の整ったジャズ・ロックへとサウンドの変貌を遂げている。

  @「Hazard Profile (Part 1)」のギターからして明らかに今までと違うソフト・マシーンに驚かずにはいられない。9分を超えるナンバーでホールズワースのギターが堪能できる。A「Part 2」は短いピアノナンバーでそのままB「Part 3」へ。ギターとベースのユニゾンが織り成す分かり易いフレーズが1分程、特に変化も無くC「Part 4」へ移行している。そのままスピード感溢れるD「Part 5」へ。小刻みなビートにシンセが絡む。キーボードとアンサンブルを重視したナンバーだ。全てジェンキンス作。E「Gone Sailing」はホールズワースの短いアコースティック・ギター・ソロ。ジェキンス作、タイトルナンバーF「Bundles」は見事なアンサンブルで小刻みに動くベース、ドラムが良い。続くホールズワースのG「Land Of The Bag Snake」では滑らかなギターの早弾きが聴ける。間を置かずH「The Man Who Waved At Trains」。シンバルワークを使用した短いナンバーで直ぐにI「Peff」となりスピードが増す。共にラトリッジ作。爆発寸前でアルバムのハイライトともいえるJ「Four Gongs Two Drums」へと突入している。管楽器が忙しく鳴り響くがいきなりフェイドアウト。マーシャルのパーカッション風味ドラムソロが始まる。K「Floating World」はジェキンス作でアルバム中最も異色感漂いながらも気持ち良いナンバー。最もソフト・マシーンらしい曲かも。

  フリーフォームな即興演奏は見られず一糸乱れぬアンサンブル重視。その分親しみやすさが増した作品だと思う。

SOFTS

1.Aubade
2.The Tale Of Taliesin
3.Ban-Ban Caliban
4.Song Of Aeolus
5.Out Of Season
6.Second Bundle
7.Kayoo
8.The Camden Tandem
9.Nexus
10.One Over The Eight
11.Etika

Roy Babbington (Bass Guitar)

John Etheridge (Acoustic and Electric Guitars)

John Marshall (Drums)

Alan Wakeman (Soprano and Tenor Saxophones)

Karl Jenkins (Piano, Electric Piano, Pianette, String and Mini-Moog Synthesizers)

<Guest>

Mike Ratledge (Synthesizer)

 

  76年発表の9th。前作で脱退した最後のオリジナル・メンバーであるマイク・ラトリッジもゲストながらBCでシンセサイザーを担当。早々と脱退したアラン・ホールズワースの後任にはダリル・ウェイズ・ウルフで活躍したジョン・エサリッジを、更にリック・ウェイクマンと血縁のアラン・ウェイクマンをサックスに起用した超一流ミュージシャンによるフュージョン・ジャズ・アルバム。実験性は全く無いが個々のメンバーの演奏は超絶。

  短い穏やかなイントロ@「Aubade」後、ピアノに導かれて始まるA「The Tale Of Taliesin」。3分に差し掛かった辺りで披露するエサリッジの超高速早弾きには絶句。細かいビートを叩き出すドラムとベースがガッチリ支える。消えるようなエンディング後間髪入れずテクノ的電子音とビートが入るB「Ban-Ban Caliban」へ。サックスとカッティング・ギターが絡み合い、5分に差し掛かった辺りで今度はギターとベースが主調しあう。そして火花を散らすギターとドラムにはただただ唖然とするしかない。ベースも唸っている。さらに7分くらいで曲調を転調させ電子音で締め括る大作。またもや間を置かずC「Song Of Aeolus」に突入。エサリッジの泣きのギターが光る。D「Out Of Season」はピアノナンバー。ギターが絡みドラム、ベースが入る。続けて電子音と共にE「Second Bundle」へ。ここまで全てジェンキンス作。F「Kayoo」はマーシャルのドラムソロ、続けてエサリッジのギターソロがG「The Camden Tandem」。早弾きと力強いドラミングのバトル。ジェンキンス作の短いH「Nexus」を挟んでベースとサックスが主体のI「One Over The Eight」へ。徐々に盛り上がっていく。テンション絶頂で消え入るようにフェイドアウト。終曲J「Etika」はエサリッジのアルペジオ・アコースティック・ソロ。スパニッシュ奏法も見せる小曲。

  型にはまらない逸脱、前衛ジャズを展開したソフト・マシーンも最終的に行き着いたのはフュージョン・ジャズ。但し聴く価値有り。「ソフト・マシーン名義でなかったら間違いなく傑作とされたアルバム」と言われる様にフュージョン・ジャズの決定盤。

SOFT MACHINE 1

THE WILD FLOWERS

CARAVAN

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