CARAVAN

ソフト・マシーンと並ぶワイルド・フラワーズもう一方の片割、キャラヴァン。リチャード&デイヴのシンクレア兄弟、パイ・ヘイスティングス、リチャード・コグランによって67年に結成。牧歌的心地良さを内包したメロディーを緻密な演奏に融合させたサウンドはポップであり、カンタベリー音楽の入門編として最も薦めたいアーティストだ。流動的にメンバーは変化し、音楽性も変えていくが常にボーカリストがいる事、ビートルズ級のポップな音楽性が貫かれている事などソフト・マシーンとは音楽性を異にする。

CARAVAN

Mono Album

1.Place Of My Own

2.Ride

3.Policeman

4.Love Song With Flute

5.Cecil Rons

6.Magic Man

7.Grandma's Lawn

8.Where But For Caravan would I ?

Stereo Album

9.Place Of My Own

10.Ride

11.Policeman

12.Love Song With Flute

13.Cecil Rons

14.Magic Man

15.Grandma's Lawn

16.Where But For Caravan would I ?

Bonus Track

17.Hello Hello (Single Version)

68年発表のデビュー作。後の作品と比べると演奏面、歌共にやや稚拙さを感じさせるもしれないが、温もりを感じさせるポップな楽曲は一聴しても損の無い良質作だと思う。@「Place Of My Own」から既にポップ職人ぶりを発揮。どこかで聴いたような??と不思議なくらい耳に馴染む曲ばかり。デイヴ・シンクレアのオルガンもなかなかのもんでいろいろな音を出している。ソフト・マシーンのマイク・ラトリッジもそうですがこの人のオルガン聴くとカンタベリ〜って感じがします。出だしのギターイントロを引きずって歌うヴォーカルが気持ち良いA「Ride」やB「Policeman」もポップな質感が際立つ。ジミー・ヘイスティングスのフルートが聴ける素晴らしきC「Love Song With Flute」。G「Where But For Caravan would I ?」は約9分の大曲で後の大作組曲の片鱗。記載楽曲は2002年リマスター盤。Mono録音とStereo録音の両方に加えボーナストラックとしてP「Hello Hello (Single Version)」が収録されている。以降アルバムの掲載楽曲も全てリマスター、ボーナストラック入りの新装改訂盤です。

IF I COULD DO IT ALL OVER AGAIN, I'D DO IT ALL OVER YOU 

1If I Could Do It All Over Again, I'd Do It All Over You

2.And I Wish I Were Stoned

 〜Don't Worry

3.As I Feel I Die

4.With An Ear To The Ground You Can Make It

 〜Martinian

 〜Only Cox

 〜Reprise

5.Hello Hello

6.Asforteri

7.Can't Be Long Now

 〜Francoise

 〜For Richard

 〜Warlock

8.Limits

Bonus Track

9.A Day In The Life Of Maurice Haylett

10.Why? (And I Wish I Were Stoned)

11.Clipping The 8th (Hello Hello)

12.As I Feel I Die

70年発表。レーベルを移籍しての1作目。@「If I Could Do It All Over Again, I'd Do It All Over You」を聴いただけでバンドとして飛躍的に成長を遂げた事が伺える。ひねくれポップで創造力豊かなバンドでなきゃ作れない音だ。A「And I Wish I Were Stoned」は8分に及ぶ長尺ナンバー。音の変化は少ないが優しいポップテイストが溢れている。ラストはドラムソロ。B「As I Feel I Die」は繊細なオープニングから1:40過ぎにリズミカルにスピードアップ。タイトなリズムに軽快さが相まって心地良い。C「With An Ear To The Ground You Can Make It」は10分近い組曲。オルガンやフルートを巧みに使いながら音の強弱も見事に再現している。D「Hello Hello」は多少風変わりなポップナンバー。きちんとデイヴのオルガンソロを挿入。E「Asforteri」はつぶやき声を用いた小曲。以降彼らの十八番となる組曲はF「Can't Be Long Now」に収録。フルートを用いた幽玄めいたオープニングから3:40に音を一転。オルガン、サックス、フルートを交え10分過ぎに音はへヴィーな重みに。G「Limits」はフルートをフィーチャーした優しい小曲。前作から格段と進歩した個々の楽曲の構成は見事でアレンジセンスが光る。凄い演奏を如何に微塵にも感じさせずさらっと聴かせるか。ともすればポップな楽曲なんだが良く聴くと演っている事は複雑かつ緻密。そんなカンタベリー音楽特有の妙技を完全に身につけた名作だ。既にこのアルバムで十分な力量を証明した。

IN THE LAND OF GREY AND PINK

1.Golf Girl

2.Winter Wine

3.Love To Love You

4.In The Land Of Grey And Pink
5.Nine Feet Underground : Nigel blows A Tune

 〜Love's A Friend

 〜Make It 76

 〜Dance Of The Seven Paper Hankies

 〜Hold Grandad By The Nose

 〜Honest I Did!

 〜Disassociation

 〜100% Proof

Bonus Track

6.I Don't Know It's Name (Alias The Word)

7.Aristocracy

8.It's Likely To Have A Name Next Week

9.Group Girl

10.Dissassocitaion / 100% Proof

71年発表。初期キャラヴァンの最高傑作と称えられると同時にカンタベリー音楽の最高峰。@「Golf Girl」はポップな中にも展開の妙が味わえる。ホルンの調がほんわかな雰囲気を醸し出しポップさも相まっていかにもキャラヴァンらしいナンバーだ。A「Winter Wine」は落ち着いた調からテンポ良く軽快に走り出す。音数を減らしながらリチャード・シンクレアのヴォーカルをフィーチャー。途中のオルガンソロもなかなかです。B「Love To Love You」は思わず聴き入ってしまうポップサウンドでヴォーカルはパイ・ヘイスティングス。C「In The Land Of Grey And Pink」。これもオルガンソロをフィーチャーしたナンバー。凝ったヴォーカル処理を加えている所が面白い。D「Nine Feet Underground : Nigel blows A Tune」は超大作の22分ナンバー。序盤をリードするオルガンが先ず素晴らしく良い。6分過ぎにオルガンとユニゾンで溶け込むリチャード・シンクレアのヴォーカルも良い。そして再びオルガンの調。無理の無い流れや、楽曲のフックなどは頂点に達している。ラストへ向かう締めのもっていき方もお見事です。淡いジャケットも印象的。カンタベリー音楽を語る上で絶対に外せない名作中の名作です。

WATERLOO LILY

1.Waterloo Lily

2.Nothing At All

 〜It's Coming Soon

 〜Nothing At All (Reprise)

3.Songs & Signs

4.Aristocracy

5.The Love In Your Eye

 〜To Catch Me A Brother

 〜Subsultus

 〜Debouchement

 〜Tilbury Kecks

6.The World Is Yours

Bonus Track

7.Pye's June Things

8.Ferdinand

9.Looking Left, Looking Right

 〜Pye's Loop

72年発表、4th。前作をもってデイヴ・シンクレアがマッチング・モールの結成に動き脱退。後任としてスティーヴ・ミラーを迎えて作成された。 @「Waterloo Lily」はリチャード・シンクレアがヴォーカル。ゆたったりした間奏を挟むブルース風ナンバー。A「Nothing At All」はインストナンバー。5分程ジャズ風のゆったりした演奏が続き7:15までテンポを変化。B「Songs & Signs」ポップにまとめられた佳曲。CAristocracy」なんかは絶品のポップソングでこれぞキャラヴァン的テイストが溢れている。前作同様組曲をD「The Love In Your Eye」に持ってきている。ジャズロックを基本に据えた名演が光る。E「The World Is Yours」はエピローグらしいセンチな小曲。スティーヴ・ミラーの加入によりジャズテイストが非常に増した作品だが緻密さ溢れたポップさは失われておらずアルバムの完成度は非常に高い。

FOR GIRLS WHO GROUP PLUMP IN THE NIGHT

1.Memory Lain,Hugh

 〜Headloss

2.Hoedown

3.Surprise,Suprise

4.C'thlu Thlu

5.The Dog, The Dog, He's At It Again

6.Be All Right

  〜Chance Of A Lifetime

7.L'auberge Du Sanglier

 〜A Hunting We Shall Go (Reprise)

 〜Pengola

 〜Backwards

 〜A Hunting We Shall Go (Reprise)

Bonus Track

8.Memorylain, Hugh (US Mix)

 〜Headloss (US Mix)

9.No! (Be Alright)

 〜Waffle (Chance Of A Lifetime)

10.He Who Smelt It Deal It (Memory Lain, Hugh)

11.Surprise, Surprise

12.Derek's Long Thing 

73年発表。3rdと同様傑作の呼び名高く、人気のある5th。前作発表後スティーヴ・ミラー、リチャード・シンクレアが相次いで脱退。しかしデイヴ・シンクレアが復活し、ジェフリー・リチャードスン、ジョン・G・ペリーが加入。キーボードが変わりサウンド形態も多少異なる。しかし持ち味は薄れておらず楽曲は前作以上に滑らかでポップな冴えを見せてくれる。@「Memory Lain,Hugh」はフルートをフィーチャーしながら5分過ぎに軽快なテンポの「Headloss」へと移る。なかなかエネルギッシュでストレートなロックナンバーだが様々な楽器がフィーチャーされてて聴き応え抜群。A「Hoedown」はスピード感溢れるカントリーナンバー。なかなか良いです。B「Surprise,Suprise」はバラード風に始まりながら徐々に音は艶やかに、力強いヴォーカルが印象的なこれもロックナンバー。C「C'thlu Thlu」は異色のナンバー。ギターとベースが織り成す捻くれたユニゾンのイントロ・フレーズが印象的。D「The Dog, The Dog, He's At It Again」はコーラスがめちゃくちゃ好きです。E「Be All Right」はドライヴ感溢れるロックスタイルのナンバー。ヘリコプターの音から始まるドラマティックなオープニング。後年のハードロックスタイル風楽曲。「Chance Of A Lifetime」に差し掛かると曲調を変えおっとりした甘いバラードへ。恒例とも言えるF「The Dog, The Dog, He's At It Again」の大作組曲もインストながら聴応え十分。アコースティックイントロから1分過ぎに爆発音と共にドラマティックなオルガンが。あまりに劇的で感動すら覚える。ひたすら盛り上がりを見せつつも4:30前にピアノの美しいたたずまいに。ストリングスと浮遊感溢れるオルガンが何とも印象的。9分過ぎにオープニングのフレーズを再現。爆発音と共に終わる。個々の楽曲がどれもキラリと光っておりその出来に死角なし。名作として語り継がれるべき作品です。

CARAVAN & THE NEW SYMPHONIA

1.Introduction By Alan Black

2.Memory Lain, Hugh 〜 Headloss

3.The Dog, The Dog, He's At It Again

4.Hoedown

5.Introduction

6.The Love In Your Eye

7.Mirror For The Day

8.Virgin On The Ridiculous

9.For Richard

10.A Hunting We Shall Go

74年発表。彼らにとって初のライヴ盤。録音は73年10月28日。オーケストラとの共演を実現し彼らの音楽世界を余す事無く聴ける屈指のライヴアルバム。バンドの音とオーケストラ音が見事なまでに溶け込んでおり彼らにとって演奏面では最も脂の乗っていた時期であることが伺えます。

CUNNING STUNTS

1.The Show Of Our Lives
2.Stuck In A Hole
3.Lover
4.No Backstage Pass
5.Welcome The Day
6.The Dabsong Conshirtoe:

 a.The Mad Dabsong

 b.Ben Karratt Rides Again

 c.Pro's And Con's

 d.Wraiks And Ladders

 e.Sneaking Out The Bare Quare

 f.All Sorts Of Unmentionable Things
7.The Fear And Loathing In Tollington Park Rag

Bonus Track

8.Stuck In A Hole (Single Version)

9.Keeping Back My Love

10.For Richard

75年発表の6th。ジョン・G・ペリー(B)が脱退し元カーヴド・エアのマイク・ウェッジウッドが加入した新生キャラヴァンの音はロック寄りの路線で変化が見て取れる。聴く人によっては多少の難色を示す方もいるようだが僕にとっては今までと違った魅力を持っており十分満足のいく出来で、過去作と比べても全く引けを取っているとは思わない傑作だ。お得意の組曲も見事で圧巻。ヒプノシスのジャケットも名作です。ピアノの優しいたたずまいから始まる@「The Show Of Our Lives」から優雅なポップサウンドでうっとり。A「Stuck In A Hole」は多少ロック色を強めたお手軽なポップナンバー。ストリングスが美しいバラードB「Lover」。立て続けにC「No Backstage Pass」へと移りドリーミーでどこか哀愁めいた美しさが溢れている。D「Welcome The Day」は雰囲気を変えファンキーなR&B風。E「The Dabsong Conshirtoe」は約18分に及ぶ集大成的組曲を披露。優しく繊細なオープニングから熱を帯びてくる。フルートやシンセのソロなどを挿入したインストも綿密に作られており、ラストは盛り上がりながら@のアウトロ音が流れる。F「The Fear And Loathing In Tollington Park Rag」は1分弱の小インスト。

THE WILD FLOWERS

SOFT MACHINE 1

SOFT MACHINE 2

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