RENAISSANCE

クラシカルロックの最高峰ルネッサンスです。クリムゾン、フロイド、EL&P、イエス、ジェネシスを通過し、さて次のプログレは?となった時自信を持って薦めるのがこのルネッサンスです。いろいろと関係が複雑なわけですが黄金期はやはり史上屈指の女性シンガー、アニー・ハズラムを向かえて作成された作品群です。2000年には待望の復活アルバムを発表しました。

〜第2期ルネッサンス〜

元々ルネッサンスが結成されたのは69年。ヤードバーズ(言わずと知れた3大ギタリストを輩出-エリック・クラプトン/ジェフ・ベック/ジミー・ペイジ)のボーカリストであったキース・レルフが68年にヤードバーズを脱退後、同じくヤードバーズ出身のジム・マッカーティや妹のジェーン・レルフ等と共に結成された。「RENAISSANCE」、「ILLUSION」という2枚のアルバムを残して(因みにこの2作は良質なんで聴いて損はありません。)バンドは解散するが、「ILLUSION」に参加していたマイケル・ダンフォードの導きにより再度結成されたのがこの第2期ルネッサンス。メンバーはアニー・ハズラム(Vo)、ジョン・タウト(Key)、ジョン・キャンプ(B)、テレンス・サリバン(Ds)、ロブ・ヘンドリィ(G)。但しマイケル・ダンフォードはメンバーとしてクレジットされておらず、74年発表のアルバム「TURN OF THE CARDS」より正式メンバーとなっている。一方オリジナルの創始者、キース・レルフはリハーサル中の感電死という不慮の事故で最期を遂げている。

PROLOGUE

1.Prologue

2.Kiev

3.Sounds of the Sea

4.Spare Some Love

5.Bound For Infinity

6.Rajah Khan

天性の歌姫アニー・ハズラムを向かえてメンバーを一新、72年発表作。ジョン・タウトのピアノソロで幕を開ける@「Prologue」から素晴らしい。このピアノソロにアニーのハイトーンボイスが絡むこの妙技。まさしくプロローグなる挨拶代わりの一曲と言った所。名曲です。A「Kiev」もピアノソロから。途中曲調を変える展開の仕方が良い。ここら辺がプログレッシブですね。以降のアルバムでも何曲か聴ける男性コーラスとアニーのボーカルが絡むこれまたお気に入りの曲です。B「Sounds Of The Sea」は冬の浜辺を感じさせる非常に美しいナンバー。C「Spare Some Love」では途中ワンクッションを置くごりごりのベースプレイが印象的。11分を越えるラストのE「Rajah Khan」は前5曲から全く曲調を変えイスラム調。勿論一辺倒には傾かず所々でアクセントをつけており長さは感じさせない。アルバムを聴いて耳につくのがエレキギターのショボさ。多少雑音に聴こえてしまう(案の定このアルバム後ギターのロブは姿を消します)。とは言えアルバムの出来は非常に素晴らしく傑作に値する。以降の作品で洗練されて行く前の多少荒削りな点も聴き所の一つ。

ASHES ARE BURNING

1.Can You Understand

2.Let It Grow

3.On The Frontier

4.Carpet of the Sun

5.At The Harbour

6.Ashes Are Burning

Bonus Track

7.At The Harbour (Short Version)

73年発表。「燃ゆる灰」と題されたこのアルバムは僕が初めて聴いた作品です。そしてこの作品でルネッサンスにハマりました。一聴しただけで自分の求めていた作品はこれだ!、と思ってしまった程の衝撃だったのです。彼らの最高傑作を問われると非常に悩みますが僕はこの作品を推します。そして個人的には数多くのプログレアルバムの中でも5本指に入るほど大好きなアルバム。非の打ち所がないとはこのアルバムのことを言うのでしょう。@「Can You Understand」から超名曲。前作同様やはりピアノソロから幕を開けるがオーケストレーションでのアクセントのつけ方も流石、ベースも唸っている。マイケル・ダンフォード(メンバーとしてはクレジットされてない)のアコギも良い。あまりに見事な曲調の展開。完璧。A「Let It Grow」は素朴なナンバー。アニーのボーカルが光ります。B「On The Frontier」は前作の「Kiev」の様に男性コーラスとアニーのボーカルが絡む。C「Carpet of the Sun」は@と同じくアニーのお気に入りの曲として有名。アコギ、ピアノ、オーケストラのイントロ後アニーのボーカルが乗るところは何度聴いても惚れ惚れする。ABCと小曲が並んでるがどれも絶品です。そしてE「Ashes Are Burning」。11分を越える長尺の曲だがライブではさらに長く、20分近くに渡って演奏されるナンバー。ルネッサンス屈指の名曲と呼ぶに相応しく、美しい高音域を発声するアニーのボーカルはここに極まっている。インストも退屈させない。ウイッシュボーン・アッシュのアンディ・パウエルがギターで参加している。アルバムジャケットは2種あり右はいわゆる微笑ジャケと言われてます。日本盤CDは、2001年に紙ジャケ化した際右の微笑ジャケで発売。今までのF「At The Harbour」がボーナストラックとしてクレジットされ新たにこの曲のオリジナルバージョンがDに収録されました。オリジナルはイントロが全く違いピアノでドビュッシーの「La Cathedral Engloutie・沈める寺」がフィーチャーされている。それにしても素晴らしいアルバムだ。100点満点で評価しろと言われれば100点満点付けます。フォークとクラシックがここまで融合した作品は他に無い。英国音楽史に残る究極の一品。

TURN OF THE CARDS

1.Running Hard

2.I Think of You

3.Things I Don't Understand

4.Black Flame

5.Cold Is Being

6.Mother Russia

74年発表。マイケル・ダンフォードもこのアルバムからメンバーとして名を連ねるようになる。前作と比べると、どことなく陰のある曲が多い(そこがまた良い)。前作はフォークとオーケストラの程よいブレンドが見事であったが、この作品ではオーケストラをやや強調させ楽曲の厚みを増した作りになってます。@「Running Hard」はやはりジョン・タウトによるピアノソロより幕を開ける。10分ほどの曲ながら躍動感に富んでおり一気に聴けてしまう。ライブでも頻繁に演奏された素晴らしいナンバー。A「I Think of You」はアコーステックな小曲。B「Things I Don't Understand」は2部構成の様な曲で前半5分を過ぎた辺りからアニーの高音ボーカルをフィーチャーし壮大に盛り上げていく。C「Black Flame」は哀愁溢れたナンバー。E「Mother Russia」は名曲。この見事な曲構成と壮大な展開には圧倒されざる得ません。

SCHEHERAZADE AND OTHER STORIES

1.Trip To The Fair

2.The Vultures Fly High

3.Ocean Gypsy

4.Song Of Scheherazade

 T.Fanfare

 U.The Betrayal

 V.The Sultan

 W.Love Theme

 X.The Young Prince and Princess As Told By Scheherazade

 Y.Festival Preparations

 Z.Fugue For The Sultan

 [.The Festival

 \.Finale

75年発表。この時期が最も脂の乗っていた時期で、この「SCHEHERAZADE AND OTHER STORIES」は最高傑作としての呼び名が高いです。4たびジョン・タウトによる見事なピアノソロより幕を開ける@「Trip To The Fair」はまるで夢心地に誘われるメルヘンチックな曲。11分の長さを全く感じさせない。優しく歌い上げるここでのアニーのボーカルはほんと素晴らしい。唯一の小曲A「The Vultures Fly High」はベースが強調されておりピアノ、ドラムと共に躍動感に富んでいる。B「Ocean Gypsy」は非常に人気の高いナンバー。元ディープ・パープルのギタリスト、リッチー・ブラックモアが結成したブラックモアズ・ナイトでカバーされてます。ルネッサンスお得意のトラッドとクラシックを融合させた名曲。最も聴き所のアラビアン・ナイトをモチーフにしたC「Song Of Scheherazade」は約25分、9パートも及ぶ壮大な組曲。クラシカルロックの完成形と言って良いだろう。

NOVELLA

1.Can You Hear Me?

2.The Sisters

3.Midas Man

4.The Captive Heart

5.Touching Once (Is So Hard To Keep)

77年発表。レコード会社をワーナーに移しての第一弾。邦題は「お伽噺」。この作品までがいわゆる黄金期と呼ばれています。そしてこの作品をルネッサンスの最高傑作と呼ぶ人も多いかも。13分を越える@「Can You Hear Me?」は、ダイナミズムに溢れ、アレンジが極まっているシンフォニックロックの頂点をいく傑作。強弱を巧みに使い分けた曲構成と混声コーラスはインパクト十分。続くA「The Sisters」は気品漂う落ち着いた曲で全曲から間髪いれず置かれた配置は絶妙。B「Midas Man」はイントロのギター音が心地良くアニーのボーカルと共に幻想感が漂う。C「The Captive Heart」はピアノとアニーのボーカルでひたすら聴かせてくれるナンバー。後半のアニーによる1人コーラスも良い。ラストD「Touching Once (Is So Hard To Keep)」は最後を飾るに相応しく劇的。サビへの持っていき方が絶妙で大好きな曲です。途中で展開を変えるインスト部分のアレンジも良くアコギやサックス等が入乱れて再びサビへ持っていく壮大な展開はお見事。因みに2001年に再発された紙ジャケのHDCDはダイナミックレンジが広がり非常に音質が良い。一段と壮大さを増した感じがする。

A SONG FOR ALL SEASONS

1.Opening Out

2.Day of the Dreamer

3.Closer Than Yesterday

4.Kindness (At the End)

5.Back Home Once Again

6.She Is Love

7.Northern Lights

8.A Song For All Seasons

78年発表。シンセ音が多用され音に丸みを帯びポップ感が増した。ポップ感が増し大曲がなくなってくるとプログレファンからは敬遠されるのが世の中の常なんですがこの作品以降ルネッサンスも同様の道を辿ります。但しこの作品と次作は良質で個人的には愛聴してます。@「Opening Out」は短いながらも壮大な曲。約10分のアップテンポなナンバーA「Day of the Dreamer」は往年の名曲に匹敵するほど完成度は高く演奏、展開共に申し分ない。間奏のインスト部分も良し。B「Closer Than Yesterday」はアニーのボーカルをフィーチャーしたアコースティックな小曲。C「Kindness (At the End)」はジョン・キャンプがボーカルをとっている。D「Back Home Once Again」は非常にポップなんだが凡百のポップソングにならないのはアレンジが見事だからだろう。E「She Is Love」では再びキャンプがボーカルをとる。ストリングスの処理が抑えられキャンプの声を際立たせている。F「Northern Lights」も分かりやすいポップソング。多重処理された声と生声をうまく使い分けている。11分を越えるG「A Song For All Seasons」はA同様良質の大曲。前半のインストパートが4分近く長いが退屈しない。オーケストラ演奏もゴージャスで円熟の域に達したルネッサンスを楽しめる。

AZURE D'OR

1.Jekyll And Hyde

2.The Winter Tree

3.Only Angels Have Wings

4.Golden Key

5.Forever Changing

6.Secret Mission

7.Kalynda (a magical isle)

8.The Discovery

9.Friends

10.The Flood At Lyons

79年発表。前作の路線を更に押し進め大曲も姿を消した。特徴であったオーケストラサウンドもシンセサウンドへ移行する。ポップテイストは更に増し聴きやすいが物足りなさを感じるのは否めない。しかしいずれも珠玉のポップナンバーでルネッサンス名義でなければ名作と呼ばれてもおかしくない程楽曲は充実している。@「Jekyll and Hyde」はアニーの清涼感漂うボーカルが印象的。A「The Winter Tree」はシングルカットされたナンバー。B「Only Angels Have Wings」は男性陣がボーカルパートをとる幻想ナンバー。C「Golden Key」はアレンジを押さへ巧みにまとめ上げた名曲。D「Forever Changing」はアコースティックギターにアニーのボーカルが乗る。やはり美しいサビが印象的。E「Secret Mission」は軽快なポップソング。F「Kalynda (a magical isle)」はアニーの多重コーラス。G「The Discovery」はインストナンバー。やや中途半端で彼らの実力だったらもっと引き伸ばし壮大な展開へ持っていけたはず。もったいない。H「Friends」は友情を歌ったナンバー。サビが気持ち良い。ラストI「The Flood At Lyons」は最後を飾るに相応しくアルバム中最も壮大なナンバー。このアルバム後ルネッサンスサウンドのキーマンであったジョン・タウトとテレンス・サリヴァンが脱退する。僕にとってのルネッサンスはこの作品まで。

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