PRIMAL SCREAM

ジーザス&メリー・チェインのボビー・ギレスピー率いる変幻自在、自らの趣くままに音を変えていく現代音楽のカリスマ。96年に元ストーン・ローゼズのマニを加え最強ラインナップヘ。常に予想を裏切る音。アルバムを出す度に問題作といわれるがそのアルバムの質はどれも恐ろしく高い。次はどんな作品を作るのか・・・、毎回楽しみにさせられるアーティストである。

BOBBY GILLESPIE

SONIC FLOWER GROOVE

1.Gentle Tuesday

2.Treasure Trip

3.May The Sun Shine Bright For You

4.Sonic Sister Love

5.Silent Spring

6.Imperial

7.Love You

8.Leaves

9.Aftermath

10.We Go Down Slowly Rising

87年発表、浮遊感あふれるギターポップなアルバム。名作揃いのプライマルの作品群では目立たないアルバムだが個人的にはかなり気に入っている。っていうか相当良いアルバムだと思います。聴きやすく、美しく、どことなくサイケ。

PRIMAL SCREAM

1.Ivy Ivy Ivy
2.Yor're Just Dead Skin To Me
3.She Power
4.You're Just Too Dark To Care
5.I'm Losing More Than I'll Ever Have
6.Gimme Gimme Teenage Head
7.Lone Star Girl
8.Kill The King
9.Sweet Pretty Thing
10.Jesus Can't Save Me

荒削りな60年代っぽさが漂う89年発表2nd。ジャケの写真からも彼らがライブのラストでMC5の「Kick Out The Jams」を演ることからもガレージパンクな感じが印象的。疾走感あふれるロックアルバムかと思えば一方で後に「Loaded」の元曲となるD「I'm Losing More Than I'll Ever Have」等のバラードも収録。彼らの懐の深さが伺える。

SCREAMADELICA

1.Movin' On Up
2.Slip Inside This House
3.Don't Fight It, Feel It
4.Higher Than The Sun
5.Inner Flight
6.Come Together
7.Loaded
8.Damaged
9.I'm Comin' Down
10.Higher Than The Sun (A Dub Symphony in two parts) featuring Jah Wobble
11.Shine Like Stars

91年発表。全音楽ファン必聴、名盤中の名盤。発売後10年を経ても新しい。ロックとダンスの融合、トリップ感も抜群。何十年経っても風化しないこの作品は名盤と呼ぶに相応しい。と言っても実は初めて聴いた時の印象はあまりぱっとしなかった。当時聴いてたのはハードロックばっかり。耳も肥えてなかったので難解と言うか自分には必要の無い音楽かなって。唯一印象に残ったのは軽快な@「Movin' On Up」くらい。しかし何度か聴いているうちに止められなくなった。ジワジワと脳を覚醒する快感。時にドラッグの魔力が奇跡的に作用した音楽が生まれることがある。この作品もその一つ。最もお気に入りの曲はE「Come Together」かな。プライマル史上最高の楽曲でしょう。「Higher Than The Sun」も良い(ライブで聴くともっと良い)。とにかく問答無用、聴いて音宇宙へぶっ飛べ!

GIVE OUT BUT DON'T GIVE UP

1.Jailbird
2.Rocks
3.(I'm Gonna) Cry Myself Blind
4.Funky Jam featuring Denise Johnson and George Clinton on lead vocals
5.Big Jet Plane
6.Free featuring Denise Johnson on lead vocals
7.Call On Me
8.Struttin'
9.Sad And Blue
10.Give Out But Don't Give up featuring Denise Johnson and George Clinton on lead vocals
11.I'll Be There For You
12.Everybody Needs Somebody

メンフィスで録音された94年発表4thアルバム。アメリカ南部音楽への傾倒、要するにロックンロールです。「SCREAMADELICA」の後だけあってアルバムの評価はあまり高くないが良いものは良い。プライマルの曲では最もキャッチーで、軽快なナンバーA「Rocks」は必聴。バラードもお手の物。常に時代の先端を走るプライマルが後退した事もあってかメンバーも後に反省しているアルバムだが質の高さに陰りは無い。

VANISHING POINT

1.Burning Wheel
2.Get Duffy
3.Kowalski
4.Star
5.If They Move, Kill'em
6.Out Of The Void
7.Stuka
8.Medication
9.Motorhead
10.Trainspotting
11.Long Life
12.Jesus

97年発表。ダンス、R&Bと来てたどり着いたのがダブ。アメリカン・ニュー・シネマの佳作「ヴァニシング・ポイント」を彼ら流にダブで解釈し、とてつもなく高次元に音を昇華させた傑作。しかし、ジャーマンビートの影響やG「Medication」の様な前作路線の曲もありと完全にダブ一辺倒に傾いている訳では無い。「SCREAMADELICA」でもダブは採用されていたし、要約すればダブの影響が強いロックアルバムと言ったところ。B「Kowalski」ではマニが地をはうような爆音ベースを披露。C「Star」ではダブ界の巨人、オーガスタス・パブロが見事な名演を。このBからCの流れはあまりに絶妙。へヴィネスなBの後の情寂というべきCの解放感がたまらない。この完成度、「SCREAMADELICA」と比べて何ら遜色無し。

ECHO DECK

1.Living Dub (Long Life)

2.Duffed Up (Get Duffy)

3.Revolutionary (Star)

4.Ju-87 (Stuka)

5.First Name Unknown (Kowalski)

6.Vanishing Dub (Out Of The Void)

7.Last Train (Trainspotting)

8.Wise Blood (Long Life)

9.Dub In Vain (Medication)

「VANISHING POINT」をエイドリアン・シャーウッドがリミックス。ダブ度アップの完全なダブアルバム。これがまたカッコ良い。さて、ダブとはいったい?と思う方も多いかもしれない。ダブはジャマイカの先人達が生み出した空間的リズム技法。揺れるようなベース音が気持ち良い。現在隆盛しているトリップ・ホップやドラムン・ベースはダブの影響を濃厚に反映している。創始者としてはキング・タビーやリー・ペリーが有名。ビースティ・ボーイズがリー・ペリーを推したり、マッシヴ・アタックがリミックスにマッド・プロフェッサーを起用したりとダブは現代音楽に欠かせないものとなっている。「VANISHING〜」の姉妹盤だが全く別物として楽しめる。原曲と聴き比べてみて下さい。

XTRMNTR

1.Kill All Hippies
2.Accelerator
3.Exterminator
4.Swastika Eyes (Jagz Kooner mix)
5.Pills
6.Blood Money
7.Keep Your Dreams
8.Insect Royalty
9.MBV Arkestra (If They Move Kill 'Em)
10.Swastika Eyes (Chemical Brothers mix)
11.Shoot Speed / Kill Light
12.I'm 5 Years Ahead Of My Time

2000年発表。先行シングル「Swastika Eyes」を聴いたときはケミカル・ブラザーズの「Out Of Control」にやたらそっくり(ボビーが参加してるし当たり前と言っちゃ当たり前なのだが・・・)と思いちょっと心配になったがアルバムを聴いて一安心。っていうか脳天直撃爆裂サウンドに圧巻!。テクノ、パンク、ハードコアの融合が織り成すモダン・テクノロジーなプライマル世界。またしても期待は裏切られた(良い意味で)。ボビーが敬愛するケヴィン・シールズや60年代からジャンルを越え音楽の新境地を開拓し続けたカン(ソニック・ユースに多大な影響を与えている事でも有名。勿論ボビーも同様)のドラマー、ヤキまでもが参加。傑作。

EVIL HEAT

1.Deep Hit Of Morning Sun
2.Miss Lucifer
3.Autobahn 66
4.Detroit
5.Rise
6.The Lord Is My Shotgun
7.City
8.Some Velvet Morning
9.Skull X
10.A Scanner Darkly
11.Space Blues Number 2
Bonus Track
12.Substance D

2002年発表。ケヴィン・シールズがプロデュースした@「Deep Hit Of Morning Sun」からサイケデリックな音色と空間を生かした快楽が待っている。続く先行シングルのA「Miss Lucifer」はテクノな「Swastika Eyes」をパンクに持ってきた感じ。B「Autobahn 66」では完全にノイ!のハンマービートを髣髴させる。ジザメリのジム・リードが参加したC「Detroit」。ガレージ風なD「Rise」。ロバート・プラント参加のE「The Lord Is My Shotgun」。フランク・シナトラの娘、ナンシー・シナトラを起用したG「Some Velvet Morning」。けたたましいギター音を鳴らすH「Skull X」。激しく太い音。ノイズとビートがうねりを上げる微妙な感覚の中に生まれるプライマルが創造するロック。B以外に@やI「A Scanner Darkly」でもジャーマンビートの流れを感じさせるようにプライマルの作品群は古典への憧れや発掘作業に勤しむ人間を喜ばせる。先人達の音を昇華し最新の同時代音を作り上げる創造性。同時代の音楽から過去の古い音楽を掘り探す気にさせてしまう音楽が僕は大好きだ。前作から音楽性は極端に変えていないがバンド、サポートメンバーの才能を遺憾無く発揮した傑作です。本年度最高峰の作品と見た。

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