MAHAVISHNU ORCHESTRA

with JOHN MCLAUGHLIN

マハヴィシュヌ・オーケストラは42年生まれのジョン・マクラフリン(G)が率いるグループで彼は元来マイルス・デイヴィス・グループでも活躍。かの名作「Bitches Brew」のギターも彼が参加。主はジャズ・ロックだが単なるジャズ・ロックに留まらない恐るべきテクニシャンを揃えてとんでもない演奏を展開する初期3枚は絶対必聴。ジャズ界には恐ろしい人材が何人もいたことを認識させられず筈。

THE INNER MOUNTING FLAME

1.Meeting Of The Spirits

2.Dawn

3.Noonward Race

4.A Lotus On Irish Streams

5.Vital Transformation

6.The Dance Of Maya

7.You Know, You Know

8.Awakening

71年発表の1st。メンバーはジョン・マクラフリン(G)、ジェリー・グッドマン(Vin)、ヤン・ハマー(Piano)、リック・レアード(B)、ビリー・コブハム(Ds)の5人。信じられない速度でキメるユニゾンやインタープレイ。抱腹絶倒のハイテクジャズとはこの事。@「Meeting Of The Spirits」のオープニングから見事。頭にキメを持ってきてからアルペジオギターが導入される辺りからして素晴らしい。ヴァイオリン、ギターを交錯させた演奏を続けながらドラムも複雑に叩かれる。一旦のブレイク後、アルペジオギターを再び挿入しエレピをフィチャーしながらヴァイオリンが煽る。ギターとヴァイオリンとドラムが激しく主張するクライマックス。A「Dawn」は静かなオープニングだがマクラフリンはかなりギターを弾きまくっている。途中からノリを強めてヴァイオリンが主役。ドラムも複雑に展開しながら再度情寂に。B「Noonward Race」は超絶テクの応酬。金切り声を上げるような歪んだギターからただ事でない。先ずはギターとドラムの激しいバトル。ベースがリズムを作りながらギターとヴァイオリンがメインフレーズをユニゾンで展開。その中をエレピが徐々に力を挙げ歪んだ演奏をみせ、メインフレーズをエレピが呼び込みながら再びユニゾン。そしてギターを高速に弾きまくりながら今度はギターからメインフレーズを作っていくユニゾンへ。高速に繰り返されるユニゾンの応酬に昇天。そしてテンポを変え強烈なカッティングギターとドラムがバトルしラストを完璧にキメる。C「A Lotus On Irish Streams」ではヴァイオリン、ピアノ、アコギで優雅な流れを作る。物悲しくもちょっとしたテクは矢張りスリリング。D「Vital Transformation」は軽快なドラムソロからヴァイオリンとギターがリフを奏で強烈なドラムソロ。先ずギターが神風の如く切り込む。ゆったりとするもドラムソロとベース音と共にエレピが絡みながら終わる。E「The Dance Of Maya」は暗黒へヴィー風なリフ。テンポを変え、へヴィーブルースになったり。F「You Know, You Know」ゆっくりしたアルペジオギターにベース、ヴァイオリン、ドラムが追随。G「Awakening」もB同様高速ユニゾンの応酬。ヴァイオリン、エレピ、ギターのソロを入れドラムは叩きまくり。一触即発というより、最早破綻スレスレの暴走の様な緊張感と濃密なプレイが同居。正直、とんでもなくヤバイ。このアルバムには剛/軟が同居してるが明らかに剛主導。個々のメンバーが見事までの力技を発揮したスリリングで大胆な凄絶ジャズロックの大傑作。

BIRDS OF FIRE

1.Birds Of Fire

2.Miles Beyond

3.Celestial Terrestrial Commuters

4.Sapphire Bullets Of Pure Love

5.Thousand Island Park

6.Hope

7.One Word

8.Sanctuary

9.Open Country Joy

10.Resolution

72年発表。万場一致の最高傑作にしてジャズロックの頂点に立つ名盤中の名盤。ヴァイオリンとギターがド迫力に畳み掛ける@「Birds Of Fire」。美しいエレピからドラムが走りヴァイオリンとギターも爆発するA「Miles Beyond」。B「Celestial Terrestrial Commuters」はギターとヴァイオリンでユニゾンのリフを作り、シンセを挟んでドラムも魅せる。華麗な攻撃的ジャズロック。瞬時に終わる実験風C「Sapphire Bullets Of Pure Love」。美しいピアノとアコギのオープニングが綺麗なD「Thousand Island Park」。華麗に弾くマクラフリンのギターが見事。E「Hope」はリリカルなヴァイオリンを主役に据えたナンバー。F「One Word」はこのアルバムのハイライト。ドラムがスピードを作りヴァイオリンとエレピが主役へ踊り出る。ベースソロを挟みギター、ヴァイオリン、ムーグシンセが絡む。小刻みなドラムソロを挟みながらヴァイオリン、ギターが頂点へ誘う超絶ナンバー。凄い!。地の底から哀愁を漂わすG「Sanctuary」。H「Open Country Joy」はヴァイオリンの旋律から溜めを入れ、急激に畳み掛けるユニゾンの応酬と楽器ソロを挿入し後半は美しく。I「Resolution」はクリムゾン風のへヴィ面を持った小ナンバー。

BETWEEN NOTHINGNESS & ETERNITY

1.Trilogy

    The Sunlit Path

    La Mere De La Mer

    Tomorrow's Story Not The Same

2.Sister Andrea

3.Dream

73年発表のライヴ盤。正に絶頂期の記録というべきハイテク演奏が繰出される。@「Trilogy」はエレピ、ギターの早弾き、ユニゾンをキメ4分でブレイクしてからヴァイオリンがリードしていく。ドラムソロを挟んで6分過ぎからスピードを速める。先ずはヴァイオリンが火を噴き他の楽器もインタープレイを応酬。そしてユニゾンに収束。凄まじい楽曲だ。A「Sister Andrea」はリフを主体としたナンバーで高速ギターソロも挟むが楽曲はミディアムテンポ。B「Dream」は20分を超える大曲。軽めのインタープレイから5分過ぎにドラムをきっかけに走り出す。ドラム、ベースをバックにエレピが絡みをみせそこからギター、ヴァイオリンのインタープレイ。9分でリズムチェンジ。ギターが力強い。10分過ぎからはヴァイオリンとドラムのバトル。ギターに向かって唸りを上げるベース。しまいには高速化。13:30で一旦ブレイクしギター、ドラムの絡み。15分終盤は超絶弾きまくり。力技で有無言わさず聴衆をねじ伏せる威力を感じる。圧巻のナンバー。こんなバンド作ろうにも作れんわ。凄すぎ。

APOCALYPSE

1.Power Of Love

2.Vision Is A Naked Sword

3.Smile Of The Beyond

4.Wings Of Karma

5.Hymn To Him

74年発表。やはり尋常じゃないテクニシャンが集まったバンドは意思統一、統率が難しい。この作品を前にマハヴィシュヌ・オーケストラのメンバーはマクラフリンを残して一新された。姿は壮絶なジャズロックグループからシンフォニックロックへと変貌している。ロンドン・シンフォニー・オーケストラと共演。違和感あれど演奏自体は非常に素晴らしく聴き応えもあります。マクラフリンのギターも弾きまくりだし。ジャン・リュック・ポンティのドラムも見事。プロデューサーはジョージ・マーティン。@「Power Of Love」はマクラフリンのアコギを中心としたゆったり。A「Vision Is A Naked Sword」はシンフォニックロック。ドラムのインタープレイを挟み7分近くからマクラフリンのギターへ。軽快な軽めのプレイ。終盤は重厚なオーケストラ演奏へ展開。B「Smile Of The Beyond」は序盤ストリングス&女性Vo。4分からG、B、Dsが加わり演奏を展開。男性Voも。C「Wings Of Karma」はオーケストラのオープニング。2分過ぎにバンド演奏を展開しオーケストラと融合。20分近いD「Hymn To Him」はマクラフリンの高速ギターをフィーチャーしながらドラマティックに展開。8分過ぎから叙情的に。オーケストラと掛け合いながらラストへ向かっていく。

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