HATFIELD AND THE NORTH

72年結成のハットフィールド&ザ・ノース。キャラヴァンを脱退したリチャード・シンクレア、マッチング・モウルのフィル・ミラー、エッグのデイヴ・スチュアート、ゴングを脱退したピップ・パイルとカンタベリーを代表するミュージシャンが揃いに揃った最強のバンド。発表した2枚のアルバムはどちらも名盤中の名盤として語り継がれている。75年に活動を停止。その存在はナショナル・ヘルスへと引き継がれる。

HATFIELD AND THE NORTH

1.The Stubbs Effect
2.Big Jobs (Poo Poo Extract)
3.Going Up To People And Tinkling
4.Calyx
5.Son Of "There's No Place Like Homerton"
6.Aigrette
7.Rifferama
8.Fol De Rol
9.Shaving Is Boring
10.Licks For The Ladies
11.Bossa Nochance
12.Big Jobs No. 2 (By Poo And The Wee Wees)
13.Lobster In Cleavage Probe
14.Gigantic Land Crabs In Earth Takeover Bid
15.The Other Stubbs Effect
16.Let's Eat (Real Soon) - (bonus track)
17.Fitter Stoke Has A Bath - (bonus track)

74年発表の1st。ゲストにロバート・ワイアットやヘンリーカウのジェフ・レイ等が参加。@「The Stubbs Effect」は20秒弱のエレピの調。A「Big Jobs (Poo Poo Extract)」も30秒弱と短いリチャード・シンクレアによるボーカルナンバー。そのまま優しいエレピの音に包まれながらB「Going Up To People And Tinkling」。かなり落ち着いた曲調に感じられるが、カンタベリー特有の凄くなさそうで凄い曲。エレピもギターもドラムもそれぞれに主張しながら何事も無いかのように纏まりのある音世界を作っているから凄い。そのままC「Calyx」へ。ボーカルはロバート・ワイアット。既に半身不随の彼は車椅子に乗っての参加。あまりの美しさ、このアルバムのイメージにぴったりです。音圧を強めD「Son Of "There's No Place Like Homerton"」。リズミカルなナンバー。サックスはヘンリーカウのジェフ・レイ。女性コーラスに包まれる。7:36辺りでクッションを置いてドラムに続きピアノが走る。9:25で女性コーラスが再び現れサックスと共にクライマックスへ。矢継ぎ早に気持ち良いスキャットが聴けるE「Aigrette」。続くレコードではA面ラストを飾るF「Rifferama」。ピアノ、ギター、ベース、ドラムが一体となって飛ばす。軽快なドラミングの上を走るギターが抜群に良い。そしてオルガン。ハイテクプレーの応酬だ。最高潮に達した時笑い声と共に緊張感が消され曲は終わり、奇妙な声がオープニングのG「Fol De Rol」へ。シンクレアのスキャット後ベースを中心とした演奏へ。H「Shaving Is Boring」では薄気味悪さを持ったサイケデリックナンバー。途中曲の断片再現を絡めながらギターとオルガンが掛け合いユニゾンへ収束する。I「Licks For The Ladies」〜K「Big Jobs No. 2 (By Poo And The Wee Wees)」はシンクレアの独壇場で見事に歌い上げる。KはAの再演。そのままエレピのイントロL「Lobster In Cleavage Probe」へ。美しい女性コーラス。エレピ、ギター、ベースの間からオルガンが姿を現しテンポ良くアンサンブルを続けながらM「Gigantic Land Crabs In Earth Takeover Bid」。ハイライトといえる地鳴りベース、強力なギターソロ。そしてオルガンソロ。ドラムは叩きまくり。そのままオープニングを再現したようなN「The Other Stubbs Effect」で一風変わった終焉を迎える。

 ふと聴き流すと捕らえ所の無さにいつの間にかアルバムが終わっている。耳をそばだて隅々まで聴いてやろうと意気込んで欲しい。次から次へと移り変わる音。そのうっとりする様な巧みな展開の流れと演奏の上手さに感動せざる得ない。いつのまにか時間の経過を忘れ夢心地気分に陥ってしまいつつも時折はっとさせられる演奏に我に返るのだ。開放感と緊張感が同居した深淵なる世界は聴く度に新たな発見がある。この作品を聴かないでどうするのと声を大にして言いたい超名作。

THE ROTTERS' CLUB

1.Share It
2.Lounging There Trying
3.(Big) John Wayne Socks Psychology On The Jaw
4.Chaos At The Greasy Spoon
5.The Yes No Interlude
6.Filter Stoke Has A Bath
7.Didn't Matter Anyway
8.Underdub
9.Mumps

  A.Your Majesty Is Like A Cream Donut (Quiet)

  B.Lumps

  C.Prenut

  D.Your Majesty Is Like A Cream Donut (Loud)
10.(Big) John Wayne Socks Psychology On The Jaw - (bonus track)
11.Chaos At The Greasy Spoon - (bonus track)
12.Halfway Between Heaven And Earth - (bonus track)
13.Oh, Len's Nature! - (bonus track)
14.Lying And Gracing - (bonus track)

75年発表。最高傑作といわれる2nd。@「Share It」では力強く伸び伸びとシンクレアが歌い上げる明快なナンバー。A「Lounging There Trying」は前作にも通ずるギターとエレピを中心としたアンサンブル。流れるような演奏が凄い。B「(Big) John Wayne Socks Psychology On The Jaw」はオルガンが響き40秒弱。続け様にファズベースが響き渡る30秒のナンバーC「Chaos At The Greasy Spoon」。瞬時にD「The Yes No Interlude」である。ホルン、サックス、ギター、エレピも舞う。後半のエレピと緒へヴィーオルガンの対比が素晴らしい。落ち着きを見せたらシンクレアのボーカルナンバーE「Filter Stoke Has A Bath」へと。途中エレピとのスキャットがたまらなく良いです。後半はベース、ギターを基調とし実験音楽っぽくなるが音は再び纏まりを見せF「Didn't Matter Anyway」。フルートをバックにシンクレアが歌う。G「Underdub」では洒落たギターをバックにエレピとフルートの共演。素晴らしいです。お見事。H「Mumps」はラストを飾るに相応しい組曲風大作。20分を超える。美しい女性コーラス後2分でギターを中心としたアンサンブルへ。エレピとベース、ドラムがゆっくり語り合いながら5:54で女性コーラスも絡んだ後へヴィー音に。オルガンが主役へ踊りでる軽快なアンサンブルを聴かせる。そして再び女性コーラス。その後のシンクレアのボーカル後演奏は転調。ギターとエレピの演奏後サックスが入る。消え入るように終えたかと思えばエレピとフルートが煌き再び女性コーラスの登場。フルートとコーラスがミステリアスな世界を作り出しながらオルガンとコーラスでクライマックスへ。あまりに見事な曲構成。

 たった2枚のアルバムで最高傑作といわれても・・・ってな感じだが1st、2nd共に甲乙付け難いカンタベリー史上最高峰、音楽史に輝く傑作には違いない。こちらの作品は音がダイナミックに主張し楽曲の輪郭が引き締まった為か、聴き易さは前作以上。息を呑む名演と場面転換の巧みさに惚れ惚れさせられる。ボーナストラックにはライヴ収録。ギターがかなりヘヴィー音で驚かされます。

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