GODSPEED YOU! BLACK EMPEROR

1993年にカナダのモントリオールで結成されたゴッドスピード・ユー! ブラック・エンペラー。9人という大編成でその構成はギター3人、ドラム2人、ベース、チェロ、ヴァイオリン、テープ編集とオーケーストラの様。音楽性は一概には例える事が出来ずキング・クリムゾン的な即興演奏やソニック・ユース、モグワイの様な爆音ノイズをも奏で独自の世界観を創っている。

LIFT YR. SKINNY FISTS LIKE ANTENNAS TO HEAVEN!

Disc 1

1.Storm

2.Static

 

Disc 2

1.Sleep

2.Antennas To Heaven

2000年発表された2ndアルバム。2枚組ながら20分前後の大曲、全4曲というボリュームはまるでソフト・マシーンの「THIRD」を髣髴させる。@「Storm」は美しいストリングスから始まり混沌も渦巻く。ドラマティックな高揚感が6分過ぎまで続きギター、ヴァイオリンが10分過ぎから盛り上がりを見せ14分前にリズムチェンジ。ラストはサンプリング声とピアノコラージュ。A「Static」は現代音楽風な入りからサンプリングを挿入させ7分中盤まで続く。そして悲しげに響くヴァイオリンがリードしつつ音圧を強めていき16分辺りまで狂暴に変化。その後は情寂が包みこみラストもやはり現代音楽風。ヴァイオリンの入りなんかはキング・クリムゾン的要素を髣髴させるが、イメージを喚起する音の流れはピンク・フロイドに近いかも。B「Sleep」はこれもサンプリング声から静かにゆるやかな幕明け。ストリングス主導で音数少なく。7分前にドラムが入り激しくなりながら9:25で小刻みにスピードアップ。残響音を響かせながら13分過ぎに収束していき空間的に響きのある音へ。16分後半にロック的な演奏、そして終焉は爆音をうねらせた音階を刻む。C「Antennas To Heaven」もカントリー風音楽のサンプリングから。サンプリング声と音響を交錯させ5:30でダイナミックに音を展開するが再び情寂が訪れる。波の流れのようにやさしく音を展開していき宇宙空間のような雰囲気へ誘われていく。儚く消えていく音…。こう解説してしまうと複雑そうな音に感じるかもしれないが決してそんな事は無く、音の中に自己を落としこめて行く自然体な音、一気に押し切るのではなく微細な感覚のうねりや連なりを冷徹にコントロールしているのだ。傑作。

YANQUI U.X.O.

1&2.09-15-00

3.Rockts Fall on Rocket Falls.

4&5.Motherfucker=Redeemer

2002年発表3枚目のフルアルバム。プロデュースにはスティーヴ・アルビニが参加。@「09-15-00」は7分間の序章が続きヴァイオリンが行き先を導きながら音は豪快になりまるで映画の様。11:30辺りで音は細く、そして再び太く展開。Aと合わせ22分を超える組曲スタイル。B「Rockts Fall on Rocket Falls.」は3:40で渦を巻き6分辺りから爆音を叩きつける。7分を前に音は変化。淡々としたスピードで広がった爆音を響き渡らせる。これも20分を超える大曲。C「Motherfucker=Redeemer」は美しい響きから3分過ぎにテンポ良くリズムを刻み出す。次第に強烈な音階を作り出していく。うねりを呼び込む感覚的な演奏が気分を高揚させる。そこから情寂へと移りラストは安らかな平穏に包まれる21分を超える大曲。続くDも10分を超えるナンバーで計30分もの組曲。前作同様素晴らしき傑作。静かな箇所にも注目を。繊細に音を織り成しながらサウンド・スケープを形成している様はこのバンドの実力を余すことなく伝えている。

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