minimaさんのレビュー


ヘッドフォンの場合、音質だけでなく使い勝手の切り口もあると思い、そのように評価しました。メインディッシュは一番下にあるヘッドフォンアンプです。

ソニーMDR-G72
音質★ 使い勝手★★★

首の後ろにバンドを回すのが便利で通勤用に買った。当時は地方都市であまり混まない電車通勤だったのでわりと良かったが、転勤で東京で電車通勤するようになってオープンエア型ははばかられ、お蔵入り。
音質は不快なほどひどくはないがナローレンジ、リニアリティなし、もこもこしている。こだわらない人の聞き流し用。論評すべき対象にあらず。(すいません論評しちゃいました)


ソニーMDR-E888
音質(室内)★★★(屋外)★ 使い勝手★
エージングでずいぶん音が良くなった。低音は豊かでクリア、高音は世評通り繊細だが単色に染める傾向少々あり。この価格とサイズの制約の中で良い出来。
しかし遮音性に欠けることが全てを台無しにする。通勤時、騒音に音のディテイルはかき消され、良さを発揮できない。上級機ならではの高域の伸びが災いしてかすごく歪んで聴こえる。以前持っていたオーディオテクニカの卵みたいなカッコの、首の前にバンドを回す密閉型(型番失念)の方が、音質は凡庸だったが心地よく使えた。
ソニーもまさかこれを室内で使うよう勧めはしないだろう。TPOという基本的な商品企画の失敗。買ってから気づく私も愚かだが、メーカーも反省して、くれないかなあ。私をヘッドホン探求に駆り立て、このホームページにたどり着かせた罪深い(笑)製品。


スタックスSR-ラムダとSRD-7
音質★★★★ 使い勝手★★★★
弦の泣き具合、生録もののリアリティ、広々とした音場、透明感はダイナミック型と別の世界。少々クールトーン。大入力に弱くすぐに歪む。リアルすぎて録音の悪いソースは聴く気がしない。低音が薄め。
壊れて捨ててしまい、もう10年位前の記憶なので美化しているかも知れないが、高価なドライバーにつないだ最新型を店頭で聴いた感じでは前述の欠点はかなり解消されているようにも思った。
装着感は良かった。コードが太くてたまに引っ張ってしまうことあり。


ゼンハイザーHD600
音質★★★★☆ 使い勝手★★★★★
リアル、ワイドレンジ、フラットレンジ、定位きっちり、特に低域のレスポンスが秀逸なおかげで歌声や弦楽器・管楽器のフレージングが精密に描かれ、気づかずにいた演奏者の意図を随所で教えてくれる。ただ空間の広々とした感じ、透明感、小音量時の抜けの良さはスタックスの方が上だったような気も。両方欲しがるのはないものねだりか。
大入力に非常に強い。ただ、最も生き生きと鳴る音量は私の耳の好みより少し大きめで、長時間聴くとややしんどい。デザインがかっこいいのはマルだがコードが細い点が精神衛生上ちょっぴり不満。


窪田式ヘッドフォンアンプ
音質★★★★★ 使い勝手★★★★
MJ誌96年11月号に窪田登司氏が発表した作品。個人の方が製作されたのをゆずっていただいた。完全左右独立回路、トランスもふたつ、ボリュームつまみもふたつ。オリジナル設計にあった低音増強ボリュームは省略のシンプルストレート思想。製作者氏曰く「恐らく設計者より良い部品を使っている」。ゼンハイザーを活かすため入手したもので、音質評価はゼンハイによる。
強力な電源が効いてか、驚異的にパワフルな音。立ち上がり抜群。ワイドレンジ、フラットレンジ、生々しい。歪み感極小で音量をどんどん上げたくなる。合唱録音の名盤「武満徹 混声合唱のための<うた>/晋友会合唱団」がちゃんと再生できる。最高峰クラスの録音と切り結ぶ実力あり。加工の多いソースはアラが目立ち向かない。
驚くのはガムランをかなり正確に再現すること。青銅製の打楽器によるこのバリ島のオーケストラはアタックの瞬間に高音から低音までを含む非常に強いピークがあり、ここが歪んだり鈍ったりすると音楽が台無しになるが、実のぎっしり詰まったいい感じで聴かせてくれる。
うちの個体の場合、ゲインがありすぎてボリュームを8時半くらいまでしか上げることができない。ボリューム位置による悪影響は耳には感じないが少々気持ちが悪い。電源を入れてしばらくはカサカサした音がすると感じたため、電源スイッチを入れっぱなしにしている。設計どおりなのだが、なぜかヘッドホン端子は背面にあり、抜き差しが面倒。
腕に自身のある方、作ってくれるツテのある方は一度チャレンジする価値がありそう。保証はできませんが。

(私の機器環境など)
▼マランツCD-72、サンスイAU-α607KX、ソナス・ファベールMINIMA。以前はMC-L1000
▼よく聴くジャンルは大編成オケ、オペラ、リート、器楽ソロ、民族音楽など。





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