こて丸さんのレビュー


□ 評価

満足度(5点満点)
     改良前
SCA-7510 : ★★★
HD-580   : ★★★★
     改良後
SCA-7510 : ★★★★★
HD-580   : ★★★★★

kote1.jpg (13687 バイト)
  比較対象を持っていないので ER-4S と比較する。(改良後)
  音質については ER-4S には若干劣ると思う。ER-4S で時々感じる気持悪い程のリアリティーを感じた事は無い。しかし、ER-4Sに慣れてしまった耳でも十分代替となるレベルだと思う。取扱の楽さを考えれば ER-4Sよりもよい。実際 ER-4S は最近ほとんど使っていない。ER-4S を 100としても 80 位の音は出ていると感じる。

長所:
・ノイズが非常に少なくS/N比が高い。深夜にボリュームをしぼって聞いていたら枕もとの時計の音が聞こえた。
・弦楽器の余韻がよくのこる。余韻がうねりながら消えていく感じも分かる。
・超高音でもバイオリンやボーカルの音の揺れが分かる。トランペットはガラスがビリビリと鳴る様な感触が伝わる。
・軽いドラムはスコンとぬけて、重いドラムは上から降って来る様な感じになる。
・ギター、チェロ等の低音は ER-4S の精度+量感と言った感じで非常に良い。

短所:
・ER-4S に比べるとバランスが若干低音よりのせいか国産ポップスの女性ボーカルは引っ込んだような感じになる。
・開放型なので仕方が無いが HD-580 は周囲に物理的なノイズがあると非常に音が悪く感じる。

SCA-7510補足:
  SCA-7510 は現在生産終了し SCA-7511 になっている。


□ 購入のきっかけ

  1年ぐらい前にこのページを見付けてヘッドホンにはまる。3ヵ月ぐらいの間は、Sony DVP-F11 に ER-4S を繋いで聞いていて音質的には十分満足していた。
  だんだん ER-4S の装着が面倒になってきて Headroom より HD-580 とAirHead を購入。1週間ぐらいエージングしたもの ER-4S と比較すると全然納得の行かない音しか鳴らない。
  これはアンプのせいであると勝手に思い込み、Web 上で SCA-7510 を見付ける。このアンプは電流増幅と言う新方式らしい。(普通は電圧増幅)
  新しいもの好きの僕はさっそく代理店の「試聴屋」さんに赴き試聴を行った。当然ながら現状より全然良い音、その場で購入、一週間後に届いた。
 
  自宅で落ち着いた状態で聞いた最初の印象は低音の立上りの早さだ。AirHeadで同じ曲を聞くとスローテンポに聞こえるぐらいである。低音に付いては満足できた。しかし、高音に付いてはキレが甘くでまるでエコーがかかった様にきこえる。
  そのまま2ヵ月程使っていた所、高音にキレが出て来た。単に HD-580のエージングが足りなかったようである。
  しかし、ER-4S とは比べ様も無い。

□ SCA-7510 の改良

(1) アッテネータ

  それなりに満足しつつ使っている内に SCA-7510 のボリュームをアッテネータに交換するオプションがある事に気づく。アッテネータと言うものを知らなかったのだが要は可変抵抗のボリュームを沢山の固定抵抗で置き換えるものらしい。
  アッテネータに使う抵抗には金属皮膜と巻線抵抗がある。巻線抵抗の方が高価であるが奮発して巻線抵抗の方を購入。数日して届いたが物だけで取り付け説明書も無い。メールで問い合わせてなんとか交換した。
  交換直後の音はやたらと硬かった。内部配線の単線を無理に折曲げたせいかもしれない。2〜3日後には落ち着いたがアッテネータのエージングが残っている。このアッテネータの音量は22段階あり各音量毎にエージングしなければならない。気が遠くなる作業である。

  アッテネータ交換後の音は明白に変化した。今まで ER-4S でしか聞こえなかった音の一部が HD-580 でも聞こえるようになったのである。


(2) 内部配線

  アッテネータの交換ではじめて SCA-7510 を開けたのだがその時、内部配線のケーブルが貧弱に思えた。前々からヘッドホンジャックが金メッキされていないのも気になっていたので思い気って交換する事にした。
  SCA-7510 には2系統の入力やスピーカ出力の機能があるが使用しないのでこれらは接続しない事にした。ケーブルは秋葉の小柳出電気商会さんで売っていた 0.8mm のテフロン単線。これを手でせっせとツイストペアにして使用した。基板は接続部にAMPのコネクタ(型番は忘れた)を使用していて直接ハンダ付はしない様になっている。コネクタは秋葉で購入。ヘッドホンジャックもシンプルな物を秋葉で購入。

  結果は一聴して変化が分かる程であった。一つ一つの楽器の音が立体的に聞こえるようになり、ER-4S でしか聞こえかった音が更に聞こえるようになった。


(2) トライガード

  内部配線の交換で良い結果が出たので更にシールド材を使って見る事にした。Web で検索するとトライガードと言うものを見付ける。かなりのノイズ除去効果が有るらしい。
  さっそく秋葉で購入。内部配線に巻き付けてみた。

  聞いて見ると「おぉ」と思う程、音がスッキリしている。が、良く聞いて見るとスッキリしすぎて音の余韻などがノイズと共に全部無くなっている。これは失敗、全部取り外した。
  多分、使い方の問題で有ろうと思う。ノイズの発生元等に使えば効果的かも。


(3) HD-580 のケーブルkote2.jpg (9348 バイト)

  内部配線で大きく音が変わる以上、一番長い HD-580 のケーブルが音質に影響する事は明白である。消磁機(*1)を使ったりケーブルを半分に切ったりして対応してきたがどうしても音が詰まって抜け切らない様な印象を受ける事が度々である。
  このケーブルの交換は以前から考えていたのだがコネクタが特殊で入手出来ず断念していた。
  そんな時、Web 上で HD-580/600 用の交換ケーブルを発見。少々高価だが購入して見た。音は抜けるようになったが小音量時の音質が甘く結局使わなくなってしまった。
  どうせ使わないならと言う事でコネクタを取り外してケーブルを作る事にした。

  ケーブルは秋葉のタイガー無線さんで購入したテフロン撚り線で 0.5mmと 0.3mm を使用して見た。例の如く手でツイストペアにする。
  0.5mm は音の抜けが良く高音にキレが有るのだが何故か低音に解像度がなく妙な感じ。ツイストペアがいい加減だったせいだろうか。
  0.3mm は低音の解像度もありほとんど文句無し。現在も使用中。

  結果としては ER-4S に明らかに劣っていたボーカルのリアリティがぐっと増してまた一歩差をつめた感じである。

(*1) 消磁機 RD-1、本来はCDメディアを消磁する為の物だがケーブルに使うと効果絶大。標準ケーブルも消磁直後の音は全く違う。


(4) ナノカーボン

  最後の手段として取っておいたのがナノカーボンである。SETTEN No.1と言った方が通りが良いかも知れない。購入したのはPC用の物で 0.2ccしか入っていない。それでもコネクタ、100個分だそうである。
  とりあえず内部配線から電源まで全てのコネクタに塗ってみた。

  結果は予想以上である。最後まで HD-580 では聞こえなかった村治佳織のギターの指がこすれる「キュッ」と言う音がちゃんと聞こえる。今までは「チャリ」と言う耳障りな音だったのに!!


□ おまけ:ER-4S のスポンジ パッドの復活方法

  ER-4S のスポンジのパッドは汚れたら使い捨てにしていると思うが洗濯の方法が分かった。ぬるま湯で揉み洗い後にしぼってドライヤーで乾かすのである。ドライヤーと言うのがみそであのスポンジは熱によって復元する能力があり乾くと同時に膨らんでくる。
  見ためは新品同様であるが若干弾力は劣る様である。注意すべきは筒の中に残った水滴を拭き取る事である。ER-4S につくと乾くまで音がしなくなる。暖かいうちに触るとその形に固まってしまうので冷えるまで触ってはいけない。


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